インドネシアとマレーシアはなぜ仲が悪いのか?

 

日本と中国と韓国、フランスとイギリス、インドとパキスタンのように隣国同士は歴史的な背景や領土の問題で仲が悪くなる傾向にあるようですが、インドネシアとマレーシアもお互いのことをよく思っていないようです。
以前、インドネシア人の友人になぜマレーシアのことを嫌いなのかと尋ねたら、マレーシアはすぐインドネシアの真似をする、インドネシアの文化とかを盗むみたいなことを言っており、日本と韓国のような言い合いだと感じました。
同じ東南アジアのイスラム教国家であり、民族もほとんどがマレー系。言語もマレー語とインドネシア語という違いはあるが意思の疎通が可能なほど両言語は似ています。
近年ではインドネシアは中国との関係も悪化しているのですが、それよりも嫌いなのがマレーシア人だそうなのです。
今日はそんな両国の関係をまとめてみます。

両国の経済

インドネシアの人口は約2億6000万(2017年)。 マレーシアの人口は約3119万(2017年)と圧倒的にインドネシア人の人口が多いです。

名目GDPはやはり人口の多いインドネシアが1.015兆USドルとマレーシアの3140億USドルに大きく差を開けています。ちなみにインドネシアのGDPはアジアでも5位にランクされております。(2017年)

しかし、一人当たりのGDPを見てみるとマレーシアが9,812USドルで、インドネシアが3,875USドルと国民一人一人の暮らしはマレーシアのほうが潤っています。

国名 インドネシア マレーシア
 人口 (2017年)  約2億6000万人  約3119万人
 名目GDP(2017年)  1.015兆USドル 3,140億USドル 
 一人当たりのGDP (2017年)  3,875US  9,812USドル

 

どちらも近年成長著しいASEANに属し、年々経済成長を続けていますがインドネシアは依然として、国民の半数が貧困と言われており、経済格差の少ないマレーシアに比べるとインドネシアは都市部と地方の格差がかなりあると言えます。

両国の主要な産業は以下になります。

マレーシア 石油、ゴム加工、天然ガス、製薬、エレクトロニクス、木材加工
インドネシア 石油、天然ガス、自動車、繊維、電気製品、アパレル、鉱業、手工芸品

互いに石油、天然ガスなどの資源が主要産業として挙げられていますが、この資源をめぐる領海問題も関係を悪化させる一因となっています。

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両国の関係

上記に挙げたように資源を巡る紛争が何度か発生しております。以前には歴史的な国境問題(パダン島とリギタン島)がありました。この問題はインドネシア側が、オランダ領東インド植民地政府の支配地域全域が自らの領土であると主張していた一方、マレーシアはイギリス植民地政府が支配した全ての地域が自国の領土であると主張していました。

この問題が両国間で解決しない原因は両国が用いている地図が原因と言われています。インドネシア側はオランダの地図、マレーシア側はイギリスの地図を用いて領土の主張をしており、このオランダとインドネシアの地図が異なることで、両国の主張が全く噛み合わない状態になっていたのです。

これが原因でスハルト政権期のインドネシア軍とマレーシア軍の合同軍事演習において、両国が互いの地図を使用した結果、インドネシア軍に複数の犠牲者が出る事故が発生してしまいました。

最終的にこの領土問題は、国際司法裁判所に判断を委ね、結果として、両島(パダン島とリギタン島)ともにマレーシアに帰属するという判決になりました。

こうした背景もインドネシア人とマレーシア人の中を悪くさせている原因になっています。

また、インドネシア人は領土が大きいことから領土の狭いマレーシアに負けたくないという大国のプライドのようなものがあるように感じます。

 

2017年に起こった国旗問題

隣国同士は領土問題や経済的な利権から仲が悪くなりやすいものですが、近年マレーシアがインドネシア人を激怒させた事柄を紹介致します。

去年マレーシアのクアラルンプールで開催された東南アジア競技大会・通称 SEA Games。

この大会パンフレットに紹介されていたインドネシア国旗が上下逆になっていたのです。

出典:ARAB NEWS

本来のインドネシア国旗は赤が上で白が下です。上記のものだとポーランドの国旗のようです。

この件に関してはインドネシア側で大きな問題となりSNSやニュースなどで取り上げられ、反マレーシア感情が高まりました。

マレーシアのSEA Games主催側はすぐさま間違いを謝罪し、またマレーシアの外務省も「偶然の間違い」としてインドネシア側に謝罪しました。